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「最低でも足は九〇度よりは上に上げれないとね」
私の言葉につかさが笑顔のまま固まる。
きっと自分なりにシミュレートしてるのだろうけど
「はう〜」
「いやいやつかさ、ゆーちゃんだって頑張るからさ!」
「ちょっとこなた!?」
「始めは誰でも素人だった! って言うじゃない?」
「……そっか、そうだよね! うん!」
「つかさ!」
私は思わずバスの中にも関わらず立ち上がりそうになる。
文化祭の為にずっと練習してきたらならともかく、もう一ヶ月もない段階。安請け合いは絶対にするべきじゃない!
困るのはつかさ自身なのだから
「でもお姉ちゃん、わたし部活にも入ってなかったし、最後くらいは仲が良い人と一緒になにかしたいなって」
「つかさ………」
再びつかさを思いとどまらせようとしたけど、つかさの瞳は真剣だった。
これはちゃんとつかさの意志で、親友のために、自分のために決めたということ。
これで反対したら私はあいつと何も変わらないじゃない
私はつかさが弱くない人間だって知ってる
つかさが私より優れてるところがあるのも分かってる
……それに仲が良い人との思い出を作りたいの私も同じ
「ありがとつかさ〜かがみはやっぱり無理?」
「……あんた達だけじゃ余計に不安だから…私もやるわよ」
「お姉ちゃん」
「かがみん、ナイスツンデレ!」
「う、うるさい!」
視線を逸らすと、今度は後ろで走ってるあいつと目があってしまった、……気がした