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「白石、できたぞー」
放課後、今まで準備に参加しなかったオレはさっそく雑用を任せられた。
暗幕同士を縫い合わせるという、明らかに後回しにされていたものっぽい作業だけど
「おっアスカはやっぱ見た目に反して器用だな」
「うっさい、でこれはなんに使うんだ?」
「お前ね、クラスの出し物くらい把握しとけよ………」
白石が心底呆れた声を出して肩を落とし、周りの皆は苦笑いする。
みゆきまでも困った顔してるし。
「だってオレの意見却下されたし」
「あれ、アスカって何提案したんだっけ?」
「……将棋」
「ないわー」
「そりゃ無理でしょ」
「爺くさいな、お前」
あの時と同様男女問わず集中砲火なオレ。
だから言いたくなかったんだよ
そんな中みゆきだけはオレの手を取り
「日本古来の文化を体験する。私は素晴らしいと思います」
「みゆき………」
あれ、でもみゆきはその時はまた違う意見を出してた気が、確かタンスがどうたらとかすごくつまらなさそうな………。
「私達がするのは占いです」
「ああ、そういえばそんなんだったな」
確かに出来てるものを見るとそれっぽいものがあるな
占い自体にそんなに興味がない。でもこの作業、というかこうしてクラスのやつらとやるのは悪くない。
今日準備初参加のオレだけど、クラスの皆はさっきみたいな軽口を言うだけで、誰もオレを責めなかった。
「いかがですか、シンさん?」
「ん、ああ、悪くない…じゃなかったな、楽しい」
さすがにみゆき以外には聞かれたくないので、小声で答える。
そしてみゆきは嬉しそうに笑って頷いた。
どうにもオレは近くにあるものを見つけるのが苦手なんだな