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欠伸をかみ殺しつつ、わたしは早朝の学校の廊下を歩く。
「眠いんだったら休んでもよかったんだぞ、強制じゃないんだし」
「まあこれでも一応ダンスのリーダだからね」
シンの言葉にもっともらしい答えを返すけど、それはまあ方便ってやつだ
みんなとわいわいするのが楽しいからってのが大きな理由。
それで小さな理由は―――
「だからって教室の鍵を取りに来るのにも付いてくる必要はないだろ」
「いやいやシン一人では心配で任せらんないよ☆」
言葉と同時にシンが手を伸ばすが、それを読んでいてたわたしはひらりとかわす。
悔しそうに睨みつけてくるシン。
こういうのがたまらなく楽しい
シンの隣にいたいから
やっぱり一対一の方がシンを堪能できるからね。
「ったく」
「おのれら職員室の前でなにイチャイチャしとんねん………」
呆れた声を出したのは出勤してきた我ら三年B組担任の黒井先生。
……というか先生、もう少しそのボサボサの髪をどうにかしませんか
「空き教室の鍵を借りに来たんですよ」
「ああーさよか、ちょいまっとれ」
黒井先生はまだ眠そうに職員室へと入っていく。
職員室の中にいる先生たちはまだ少ないところを見ると、先生は早出なんだろうか
「ほら、ここやろ」
「ありがとうございます」
「って先生、なんでわたしたちに付いてくるんですか?」
「ちゃうちゃう、これからB組の手伝いや何のためにはよ来た思ってんねん!」
なるほど、先生というのはアニメ的には結構気ままにビール飲んだり、
生徒にたかってるイメージがあるけどやはりリアルは中々大変そうだ。
「あ〜せやアスカ」
「なんです?」
「お前も少しは放課後残ってやりや」
「でもオレチアダンスの方が」
「それは知とるけど、クラスの皆でやるのはええ思い出になるで
やから、あの泉ですらちゃんと放課後参加しとる」
「ちょっと、それどういう意味ですか!?
まあわたしとつかさはみゆきさんの代わりですけどね」
「それもええんちゃう、友情・青春やん。分かったかアスカ」
そういってからから笑いながら先生はわたしたちを抜き去っていく。
先生はやっぱりこういうのが好きなんだろうな〜授業の時よりも生き生きしてるし
「こなた、どういうことだ………?」
「へっ?」
なぜか呆然となってるシン。
いきなりのシリアスモードはさすがのわたしでも意味が分かんない!