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「そ、それはまだ分かんないっス、けど」

「けど?」

「どのグループも打ち解けた感じはしませんか?」

 グループ分けを行った時点の昼飯時より、練習で疲れてるはずの休憩時間の今のほうがどこからも話し声が聞こえてくる。



「ふ〜ん、あいつも色々考えてるのね」

「なんで黙ってたって怒らないんですか?」

「私はどんなイメージなのよ」

「あっ、いや………」

 嘘は言ってないけど、真実を聞かれるまでは黙っているという腹黒い類ではないと思うっス。

 でもアスカ先輩とはしょっちゅう喧嘩してるの見てるし、

これって二次元だったら仲良いととれるけど、リアルだったら険悪とも見えるしな〜

 それにかがみ先輩はダンスリーダーが泉先輩や、日下部先輩一人の時は代わりに仕切ってくれるし、

ないがしろにされたんじゃないかって思ったんっスけど



「あいつちょっと、ううんだいぶ他人の気持ちに鈍いけど」

 同意っスけど、なんかすっごく強調して…何かあったんっスかね〜

「チームワークの大事さは、私達なんかよりも身をもって知ってるんじゃないかな」

 そしてかがみ先輩は壁際でうんうん唸ってるアスカ先輩の方に視線を向ける。

 そしてその目は褒めてるのになぜか哀しい色が映っていたっス。

 ……ひょっとしたら、かがみ先輩はアスカ先輩が何者か知ってるんっスかね?



「これでも一応あいつのこと信頼してるのよ、それなりにね」

 恐らく読んでるのが、昨今のラノベ中心に読んでいるはずのかがみ先輩は『シン・アスカ』の事なんて知らないはず。

 そして周りに影響を恐れて自分からは決して自身のことは言わないはずのアスカ先輩。

 だからかがみ先輩の言葉は嘘じゃないはず、だったら普通かがみ先輩ルート突入じゃないんっスか、これ?



「でも確かに意味はあったかもね、今回の」

「ですよね」

「うん、田村さんが回りに目を配れる人ってのは分かったし」

「そ、そうっスか」

 う〜む、あんまり人から絵描き以外のことで褒められたことがないから、リアクションが取りづらいっス



「ワタシもかがみ先輩ともっと話しをしたいと思いましたっス」

「……ラノベ談義なんてしないわよ」

「練習やりましょう!」

「目を合わせなさいよ!」



 ラノベ談義もっスけど、ワタシが聞きたいのはアスカ先輩との馴れ初め、これは絶対にインスピレーションになるっス!





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