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そして迎えた日曜日。
午前の最後の通し練習を終えた皆に集合を掛ける。
「よし、これで全体練習は終わり。午後からは個別練習だ」
「ひゃはっー飯だ、飯!」
「まだ解散って言ってないだろ!」
女子高生という幻想を打ち砕くには充分な奇声を発するみさおを止める。
昨日の夜こなたにもオレの提案を話したけど、あっさり頷いた。
やれることは取りあえず試してみようというのはこなたも思っていたんだろう。
「個別練習って言っても厳密にはパートーリーダを中心に少人数でやってもらう」
オレは黒板に昨日ゆたかと考えたグループ分けの書いてある紙を貼り付ける。
今までそんなことはしなかったからか、ゆたかとこなた以外は皆一様に首を捻りつつ黒板の前に集まる。
「それと昼食もそのグループで食べる様にな」
「ウサ目ーっ!」
「なんだよ?」
「わたしんとこの班分けどうなってるんだよ!?」
すごい剣幕で詰め寄ってくるみさお。
よほど苦手な人がグループ内にいたのだろうか? ……そりゃ人間だから合う合わないってのはあるだろうけど、
こいつ達に限ってって思ってたし、なんかショックだ………。
「わたしだけ二人も見なきゃいけないのはおかしいだろ!?」
「ハァ?」
「だからちびっこもクールちゃんも二人班なのに、わたしだけ三人班って公平じゃねえよ!」
「オレも今回は3人班だけど」
「…………」
初めての試みだったし、上手く人数を調整できなかったので、今回はオレも指導する方に入っている。
しかしどうやらみさおは不満だったらしい。
「今回はお前が3人班だっただけだ。次やる時は順番にこなたか、みなみが3人班になるんだから」
「わかった。それならいいや」
オレの説明にあっさり頷くみさお。
まああんまり効果がなかったら、今回限りかもしれないけど。とりあえずみさおが不満だったのはそこだけらしい。
他の皆も班分けを不思議がってはいるけど、不穏な空気が生まれてるところはない。
それでも自由行動になると決まったメンバーで固まるのは、きっとお互いをあまり知らないだけなんだろう。
でも知ったらそこからすっごく仲が良い奴が見つかるかもしれない。
オレとあいつの様に
「というわけで」
「ウサ目」
「なんだまたお前か」
「またって言うな!」
「でなんだよ?」
「いや〜このダンスって前の列と後ろの列に分かれてんだろ、どうすんのかなーって」
「……えっ………」
今の今まですっかり忘れてた
確かにそろそろ決めてパート練習しないとまずい時期だ。
でもこれはダンスリーダーの意見も聞かないとだし、かといってある程度はオレが考えた方があいつ達の負担にならないだろうし
「かがみ、ちょっとオレお前達のことあんまり見れないかもしれないけど………」
「はいはい」
今回同じ班のかがみは呆れた顔で了承してくれた。