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「てなわけで、後はつかさと峰岸に任せるしかないな」
家に帰ったオレとゆたかは代わりに今日ダンスの総指揮を執ったこなたに、今日の状況を報告する。
ダンスの方はオレ達買出し班を除いてはみゆき以外は全員練習に参加できたらしい。
「そんなに難しくなさそうだったら、現物見たら各自で作れないかな?」
「うん、そうだよね。つかさ先輩と峰岸先輩がすっごく負担になっちゃうもんね」
「まあそこらへんも明日聞いてみるか」
ちなみに家事全般得意といえるオレも裁縫はちょっとばかし無理だ。
そもそもミシンなんて小さい時に見ただけで、その後は無縁の生活をしていたのだから。
「明日は全員揃うんだろ?」
「うん、教室の使用許可もばっちり! でもなんで複数の教室を使うの?」
チームワーク向上の為にオレは試してみたいことがあって、こなたにメールで頼んだのだ。
最もまだ2人にも話してないから却下されそうな気もするけど………。
「明日さ―――」
♪シスターシスター、シスターウォーズ ♪
「おう、わたしだー」
珍しく携帯を身近に持っていたこなたが電話を取る。
そして立ち上がって部屋から出て行こうとする…って今から明日の打ち合わせとオレのニュープランの発表なんだけど
「えっとわたし抜けてもいい?」
「うん、わたしとお兄ちゃんで大丈夫だよ!」
「ごめんねー」
オレが口を挟む前にあっさりとゆたかが許可を出したため、こなたは自室へと行ってしまった。
ある程度大事な内容の電話だということはなんとなくは分かったけど、後で折り返したらいいだけな気もするけど………。
「ゆたかいいのか?」
「今日お姉ちゃん大変だったと思うし、わたし達で明日の予定を決めちゃお!」
確かに総指揮なんてこなたの柄じゃないよな。それなのに今日はこなた自身で買って出てくれたんだよな
そういうところに気付かないから、オレは空気が読めないなんてのを言われるんだろう。
ゆたかは自身が気遣われる経験が多いから、人に対してもそれが当たり前に出来るんだろう。
ゆたかは嫌がってるけど、でもそれが今の優しいゆたかに繋がっている。
「お兄ちゃん?」
「ああワルイ、じゃあ始めるか」
オレはゆたかの頭を一撫ですると、ノートを広げた。