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 何度再生しただろうか

 頼んでいた水羊羹を食べ切り、おかわりのストレートティーを注文しようか悩んでる時だった。

 一つだけようやく気付いた。



「綺麗じゃない」

「いや、だからそれは練習がまだ」

「チーム、じゃないんです。この人達は周りを伺ってる」

 全員が隣に合わせようと踊っている。それは息が合ってない証。

 見て合わせようとするから僅かにズレていく、少しのズレが積み重なり目立つズレへとなっていっている。



「でもこいつら全くの寄せ集めてわけじゃないし、仲が悪いってわけじゃないのに………」

「……別段良くもないとかは?」

「そりゃあクラスも学年も違うから、普段会話しないのもいるだろうけど」

「個人間ではあってそうな人達もいますけど、このピンクの髪と緑の人とかは合ってます」

 恐らく私が指摘した二人は日頃から一緒に練習しているのだろう。相手を伺わなくても自然に合っている。

 しばしアスカ・シン先輩は動画を食い入るように見つめる。

「……要するに全体のチームワークってことか」

 アスカ・シン先輩なら私よりもこの人達に詳しいはずだし、誰と誰が合っているかも見星がつけやすいだろう。

「はい。期間中でも一緒に行動してもらうとか」

 コミックマーケットとかいうイベントの度に、妙なチームワークが生まれるこう達を思い浮かべる。

 それが始まる何日前から、誰かの家にみんな泊まりこみでその準備をするらしい。そして妙な連帯感を生んでいるらしい



「とはいえ今からキャンプってのも時間ないしなー」

「……そうですか」

「とりあえずは一歩前進だな、助かったよやまと」

「別に何もしてません」

 この人は案外単純な人なのかもしれない。私からみたらこのチアダンスは課題の山積み、

そんな中で少しの疑問が解けただけなのに、もう晴れ晴れとした顔をしている。

 どうやら私はアスカ・シンという人を必要以上に警戒していたようだ。

 まあもっとずるい人なら、こんな女の子ばかりの集団にはいられないはず。

 きっとこの映像の人達は私よりもアスカ・シンのことを知っていて、私よりもアスカ・シンという人を信頼しているんだろう。



「悪いオレこれから予定があるんだ」

「えっ?」

「代金は置いとくから、釣りはお礼ってことで!」

 この後の予定が時間ギリギリだったのか、言いたいことだけ言うとアスカ・シン先輩は風の様に店を出て行った。



「……いや、まあいいけど、ヒトカラも好きだし………」



 でもやっぱりアスカ・シンは空気が読めない人、これは確実だ。





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