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「わたしとお前とでは重さが違う!」
「……だからそういうの意味分からないから」
わたしのチアダンス張りのきめポーズに、シンは大きくため息を吐く。
今はこの距離感が心地良い
そんな感慨にふけりながら何気なく手に取った携帯にはメール受信のお知らせ。
「つかさからだ」
「どうした?」
「終わったら、B組の教室に顔出してって」
「じゃあオレも」
「来なくてよろしい」
わたしの言葉にシンはムッとした顔をする。
つかさが携帯を忘れる可能性が高いわたしにだけ、わざわざメールを寄越したんだから、わたしに用があるはず。
そんなことをするのはシンには言えない理由があるからだろう。
「でももう暗いし」
だが食い下がるシンは必殺技『過保護』を発動させる。
そもそもシンがほぼ毎日女子であるわたし達と一緒に帰るのは、万が一に備えてわたしたちを守るため。
ただ実際はわたし達の帰り道はそんな危ないところを通ることもなく、
高校に入って一度しかトラブって(それもつかさを助けるための完全な誤解)いない。
だからシンの気遣いは徒労に終わっている……まあそれをしてくれるということがわたし達は嬉しいのだけど。
ただ今回は違うのだ。
「だったらゆーちゃんをお願い。疲れてるだろうし」
シンを説得するのはわりかし簡単だ、様は明確な他の理由を突きつけてやれば良い。
わたしの言ってることは間違ってないし、シンもゆーちゃんのことを気にしているはず。
ゆーちゃんには申し訳ないけど今回はここを使わせてもらう。
「……分かった、でもあんまり遅くなるなよ。そうじろうさんも心配するし」
しぶしぶ頷くシン。
もし実際にわたしやゆーちゃんが帰るのが遅くなったら、我が家はお父さんとシンのせいでコロニー落ちてくるくらいの大騒ぎになるだろう。
「ほいほーい」
それは嬉しいというよりかはうざい。
なので善処はしてみよう。
いざとなったらシンを迎えに来させたらいいんだから