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 掃除を終えたオレは今日の練習用に取った教室へと向かう。

 一昨日の全員に次いで、昨日はみゆきとひよりとあやのの少しの欠席で済んだけど、

今日は週末金曜日のため、クラス出し物の作業に借り出されている方が多い。



 来るのはオレを除くと

 ひよりか

 真っ先に名前が浮かんだのは、すぐ前にひよりが歩いているからだった。



「おっす、ひより!」

「うわぁぁ!?」

「うおっ!?」

 驚くひよりに驚くオレ。

 誤解を招くようだけどオレは普通にひよりに声を掛けただけだ!



「先輩っスか、脅かさないでくださいっス!」

「それはこっちの台詞だっ!」

 口を動かしつつも時間が惜しいので、オレ達は歩きながら責任を押し付けあう。



「先輩って毎日こっちに顔出してるみたいですけど、自分のクラスの方は大丈夫っスか?」

「ああ、オレの担当はまだあんまりすることないしな」

「……はあ」

 オレの言葉に納得していないのか、ひよりがあいまいな声を出す。

 材料が揃ってないからすることがないと説明したいところだけど、言えば言うほど言い訳に聞こえそうなのでやめた。



「とはいえ他のやつはそうでもないみたいだな」

「今日は参加者が少ないんですよね?」

「ああ、そういう時に限って大きい教室が空いてるんだよなー」

「なるほど、イマイチ自信がない時に限ってコミケが受かるみたいなもんっスね」

「全然わからん」

「えっ、マジっスか!?」

 目を見開いて驚かれても正直困る。

 泉家で生活しているからって、そういうのに詳しくなるもんでもない。

 アニメやゲームは付きあわされているから話はそこそこ分かるけど、業界ネタまでは網羅しちゃいない。



「お前もこなたも話が通じなくても、そういうの入れてくるよな」

「う〜」

 話にちょうど区切りが付いたところでオレとひよりは今日の練習教室に着いた。





 教室に入るとすでにいたのはこなたとゆたかとあやのそして、隣にいるひよりと連絡通りのメンバー。

 数では把握してるつもりだけど、実際に見ると少なく感じる。

「ん………?」

 今日のメンバーを何回か見渡してるとあることに気づいた。

 こなた以外にダンスリーダーもいないし、今日のメンバーはこなた以外押しが弱い。

その上こなたをコントロールできるやつもいない。

 これは気を抜いたら放課後ティータイムをしかねない! ここはオレがどうにかしないと!



「じゃあまあ始めよっか」

 ところが予想に反してこなたは机をずらし準備を始める。

 互いに顔を見合わせた後、続くゆたか、ひより、あやの。



「まずは頭から振り付けをチェックして、次は個別で見ていこっか、シン?」

「え、ああ………」

 こなたのペースに引っ張られるのはいつものことだけど、今日は明らかにいつもと違う。

 オレの裏をかくためにわざわざやってるとは思えないし、かといって他にこなたが真面目にやる理由もみつからない。

 オレは不思議に思いながらこなたを手伝った。





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