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『――プリーズ!』

 音楽の終わりと共に、フィニッシュのポーズで止まるこなた、みなみ、みさおの3人。

 その3人にオレ以外の皆は小さい歓声を上げる。

 オレも不満はない、1日でこれだけの出来は上々といえるだろう。

 ただここからが本番だともいえる

 この3人はほっといても覚えれるくらいの運動能力を有している。だけどここにいる全員がその能力をもっているわけじゃない。

 現に昨日こなたと一緒に映像を見ていたゆたかは、まだ踊れる段階にすら至っていない。

 先は険しい、でもやるしかない



「じゃあ、ダンスリーダーを中心に共通パートからやっていくか」

 どういう練習をするかは事前に昼休みにダンスリーダー達と打ち合わせをしてある。

 そしてこのチアダンスには少しだけだけど、パート別のところが存在する。

 だけど今の段階で各自の立ち位置を決めるのは難しいので、

まずは全体の流れと共通のところからというのが、打ち合わせで決まった。



「あれシンは?」

 一応いっておくがオレもこなた達と夜遅くまでダンスを確認していたから、充分に踊れる。

 踊れる人数が少ないから、分かってるやつが1人でもいた方がいいのは分かっている。

 だけど



「オレやることあるし」

「なんだよ〜?」

「お前の練習だ!」

「なに〜!?」

 オレはダンスリーダーの1人みさおを指差す。

 ちなみに1番できてたのは真面目なみなみ。

 明らかにみさおだけうろ覚えだった。おそらくみさおの性格からしてDVDを早々に止めたんだろう。

 こなたもオレとゆたかがいなかったらかなり怪しかっただろうし。

「だって本来の締め切りは明日だろ!?」

「2人が覚えてきたからな、戦場は常に変化するんだぜ」

「ううっ、これが戦士の厳しさってやつか………」

「みさきち、厳しいのはこっちなんだけど」

 こなたの言うとおり後の5人を2人で見るのはちょっときつい。

 こなた達も練習をしないといけないし………。



「よろしければ、私がお手伝いしましょうか?」





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