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 翌日の放課後、オレ達は使用の許可をもらった空き教室に集まった。

 理由は今後のスケジュールの大まかな発表と



「これがお約束してた例のブツっス!」



 ひよりのお兄さんが考えてくれたチアの振り付けを見ること。

 やっぱりみんな興味津々らしく、モニターの前に殺到する。

 その様子をどこか満足気に見つつひよりはDVDをセットする。



 移る映像にはひよりのお兄さんの友人と思われる数人の姿が

 どうやらちゃんと集団用らしい。これだったらあまり振り付けに手を加える必要はなさそうだ。

 そしてBGMと同時にダンスが始まる。

 テンションのあがる音楽に、なかなか動きのあるダンス、これがオープニングで決まったら盛り上がるだろう。

 ただ問題があるとすれば



「難しくね、これ?」

 ……みさお言いやがった

 オレですら言うのを躊躇ってたのに

 とはいえそれは誰もがも思う共通の感想だったろう。

 映像が終わったのに、みんなは未だにモニターを凝視している。

 いや、1人だけ違う行動を取っているものが1人。



「バカ! お兄ちゃんのバカ! 自分の妹の運動能力を把握してないんか!?」

 壁際で吼えるひより。……というか事前に見てなかったのか

 とはいえ、これ以外の振り付けを別で見つけてくるのは時間的にも厳しい。



「やりましょう!」

 言ったのはオレではなくこの中で1番運動を苦手としているゆたかだった。



「確かにすっごく難しそうです…でも、これを成功したらきっと盛り上がります!

 それにやってもいないのに諦めたくないです!」

 ここで厳しい顔ではなく、偽りない笑顔で言えるのがゆたかだ。

 そしてそれはオレを含めて皆の空気を変えた。

「諸君、今回のゆーちゃんの意見は絶対尊守なんだよ! ゆーちゃんがやるといったらやる!」

「まあやってみて難しい振り付けは変えたらいいんだしな〜」

 こなたとみさおの能天気コンビが続く。

 2人の発言に皆苦笑しつつも、やれるという雰囲気になってきた。

 かがみに対することといい、この2人はかなり似たもの同士な気がする。



「やるってことでいいんだな?」

 オレの念押しに首を振るものはいなかった。





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