ゆーちゃんに話があると言われたのは晩御飯を食べ終わった後だった。

 わざわざシンが部屋に戻ってから言ってきたのは、多分理由があるはず、だとしたら勉強のことではない。

 かといってそれ以外で改まって話をすることがあるといえば………。



 こんこん



 そんなことを考えてるうちに、ご飯の後片付けが終わったゆーちゃんが部屋にやってきた。

 あれこれ考えるよりは本人から直接聞いたらいい。



『お姉ちゃん、いいかな?』

「あいよー」

 わたしはシン相手では絶対にしない自分からドアを開けて、ゆーちゃんを部屋に招き入れる。

 言いにくいことなのか、ゆーちゃんは座ってからも話を切り出せずにもじもじしている。

 それだけの動きでもそういった趣向の人はご飯三杯いけるに違いない。



「あ、あのね………」

「お、おう、なんだね?」

「文化祭でやるオープニングセレモニーって知ってる?」

「ん〜クラスの出し物ではなくて、有志でやるやつのことかな?」

 うろ覚えの知識を引っ張り出しつつ答えたけど、どうやら当たりらしくゆーちゃんはこくんと頷く。

 とはいえ、どうしてゆーちゃんがそんな話を持ち出してきたのか、さっぱり繋がらない。



「でね、チアダンスをやりたいって」

「おお〜!」

「でね、わたしもちょっとがんばってみようかなとか………」

「おお〜…うを!? なんでまた!?」

 全く予想しないことを言われたので流しかけたけど、ゆーちゃんは元々体が弱い。

本人の話によると中学ではしょっちゅう保健室のお世話になっていたらしい。

 最近はシンのアドバイスやみなみちゃんといった友人にも恵まれてだいぶ改善はされたけど、

それでもまだ丈夫とはお世辞にも言えない。

 チアなんてアニメキャラがエンディングでは簡単にやれているけど実際は難しいし、

体力使うし正直言ってゆーちゃんでは厳しいと思う。

 それは一番ゆーちゃんが分かってると思うけど………。





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