『未定』
1
もうすぐ陵桜学園の文化祭、桜藤祭が始まります。
高校に入って始めての文化祭。とても楽しみにしているから、みんなとのおしゃべりの話題は最近このことばっかりです。
「小早川さん、この前言ってたオープニングセレモニーの話だけど………」
その文化祭でわたしとみなみちゃんと田村さんで、有志でやるオープニングセレモ二ーに立候補しょうという話になりました。
「アニ研部の先輩達に軽く聞いたんだけど、やっぱり盛り上がるのはチアみたいだよ」
「……チア、チアダンスのこと?」
みなみちゃんの質問に頷く田村さん。
確かにこういったイベントでは最初に決まって、ダンスから始まってる気がします。
「先生に聞いたら参加者と企画はある程度決まってないとだめだって」
「ということはチアに決まったらそのままってことだよね………」
「……ゆたか、別のにする?」
みなみちゃん、田村さんがわたしの方を見てきます。
二人とも口には出さないけど、わたしの体を心配してくれているのです。
でも今回言い始めはわたしですし、いつまでも二人の優しさに甘えてばかりじゃいけない
ちゃんと前に進んで行きたい
「迷惑じゃなければ、やってみようかな」
「迷惑、そんなことない!」
わたしの言葉にみなみちゃんが強い言葉で返してくれます。
だったら―――
「大変だと思うし、みんなの足を引っ張ちゃうかもって思ったんだけど、今回は挑戦してみたいなって」
「……そういうことなら」
「実はワタシの方が不安なんだけど…二人がやるなら」
「ありがとう、みなみちゃん、田村さん!」
こうしてわたしたちの文化祭への挑戦が始まりました。