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 こなたお姉ちゃんと入れ替わるように入ってきたわたしは、勢い余って前にこけました。

 地面にぶつからなかったはお兄ちゃんがわたしを受け止めてくれたからです。

 でもそれはお兄ちゃんに飛び込んだ形になるわけで、すごく恥ずかしいです………



「えっ、あっ、ご、ごめ、ごめんなさい!」

 完全にパニックになりつつも、どうにかこうにか謝ることだけできました。

 そんなわたしの頭にお兄ちゃんの手が置かれました。



「慌てたら危ないぞ、怪我はないか?」

 優しく笑ってくるお兄ちゃんに、わたしは狐につままれた気分で頷きます。

 そこにいたお兄ちゃんは学校で最後に見た張り詰めた顔のお兄ちゃんではなく、いつもの優しいお兄ちゃんでした。

 わたしと同じことをこなたお姉ちゃんも感じたはずです。だから部屋から出て行ったんだと思います。

 これはやっぱり高良先輩のおかげ? それともこなたお姉ちゃん? それともお兄ちゃんが自分の力で立ち直ったんでしょうか?

 どれが正解にせよ、高良先輩の言葉は当たっていて、わたしの心配は杞憂だったわけです。



「で、どうしたんだ?」

「うん、あのね」



 心配したんだよ



 わたしはぐっと言葉を飲み込みました。

 これを今言うのは今適切じゃない気がします。

 この言葉を言っても立ち直ったお兄ちゃんに余計な気を遣わせるだけです。

 だったら今はわたしができることで少しでもお兄ちゃんの力になりたい!



「衣装ってまだ決まってないよね? わ、わ、わたしがしてもいいかな?」

 ここで強く言えないのがわたしの駄目なところです………。

 お兄ちゃんも不思議そうにこっちを見てきます。

 だけど半分パニック状態のわたしはお兄ちゃんに構うことなく、言葉を続けていきます。

「そ、それと田村さんのお兄さんが振り付けのネタを持ってるんだって! だからいいかな?」



 やっぱり言葉が伝わってないのか、お兄ちゃんはちょっと難しい顔をして、腕を組んでしまいました。



 全然駄目だ〜! もっと落ち着かないと



 わたしは心の中ですーはー、すーはー、大きく深呼吸します。

 よしこれで大丈夫!





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