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  遊びに行ったみさちゃんを除いて教室に戻ってきた私と柊ちゃん。

 ちょっとした事があったけど、柊ちゃんのお陰で止まっていた事態は進展しそう。……なんだけど



「はああ〜」

 大きく深いため息で机に沈んでいるのは、当然柊ちゃん。

 好きな人と大喧嘩したらそうもなるわよね。



「峰岸、私は終わった…絶対シンに嫌われた………」

「そ、そんなことないよ! ほ、ほらいつも柊ちゃん言ってるじゃない、柊ちゃんとアスカ君の仲はそう簡単に壊れないって」

「無理、今回は無理………」

 顔も上げずに答える柊ちゃん。私に言った時は惚気てるっていうくらいの顔をしてたのに………。

 とはいえ私も柊ちゃんから聞いた以上の二人の喧嘩の様子に、ただ圧倒されていたからいつもよりひどかったのかもしれない。



「確かに嫌な予感はしてたけどちょっとだったし、シンのことだからあと二日もあれば絶対にできただろうし………」

 柊ちゃん若干の惚気が入ってる



「でも、ほ、ほら一日でも早く準備した方が良いし」

「だからって皆の前で言うことじゃなかったわよね、ゆたかちゃんもいたんだし………」

 そして再び大きく深いため息をする柊ちゃん。

 好きな人のことだと嬉しいこともそうだけど、つらいことも何倍にもなってしまう。

 それを知ってるからなんとか柊ちゃんの相談に乗ってあげたいけど………。



「柊ちゃんが反省することだったら、それをちゃんとアスカ君に返したらいいんじゃない?」

「……どうやって?」

「えっ!?」

 具体的にと聞かれると、とっさには答えが出てこない。

 柊ちゃんの性格だから、中々素直に謝ることはできないだろうし………。

 でもこのままだったらチアも二人の仲もギクシャクしちゃうだろうし



「で、できる限りアスカ君の手助けをするというのは?」

「それしたらまた喧嘩になりそうだし………」

「だから柊ちゃんは怒らないの」

「へっ?」

「たまにはアスカ君とぶつからないで受け止めてみたら?

 ちょっとアクションを変えたら、きっと柊ちゃんが反省してるって分かってくれると思うよ」

 俗に言う押しても駄目なら、引いてみろの典型、ありきたりって言われるのは、効果があるから良く使われるの証拠だから。



「でもそれってあっちが見捨てられたって思わない?」

「そう思われないようにちゃんと受け止めるの!」

「……それでも駄目だったら?」

 柊ちゃんもこういうことにはすっごく慎重になる。

 というよりも、今の顔をアスカ君の前でしたら一発で仲直りできると思うんだけどな〜



「そんな根に持つ器の小さい男なんて、切り捨てちゃえ〜!」

 我ながらかなりの暴論。

 でも柊ちゃんみたいなすごい想ってくれてる人の気持ちを無視する男の人だったら、それも充分ありだと思う。

 勿論、アスカ君がそんな人じゃないと私は信じてるけど



「そうよね!」

 腹を括った女の子は強い。

 柊ちゃんは机を勢いよく叩いて立ち上がる。

 瞳はもういつも、ううん、いつも以上に強い意志の柊ちゃん。



「峰岸、私今回は絶対に怒らないから見てて!」

「うん、頑張って!」

 テンションあがって盛り上がる私達。

 柊ちゃんのことだから絶対に上手くいくから。



「おう、ひいらぎ〜悩んでるか〜?」

 遊びから帰ってきたみさちゃん。

 まずやりたいことを優先するのがみさちゃん。

 でも自分がすっきりしてなかったら他人の相談にも乗れないから。みさちゃんは決して薄情な人じゃないから



「別に」

「あやの〜ひいらぎが秋風よりも冷たい〜!」

 でも今回はちょっと遅かったみたい





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