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 どうやら進行状況を伝えなかったのがまずかったらしい。

 昼休みにオレはゆたか達とかがみ達に突撃をくらった。

 といっても報告することは

「まだ振り付けが決まってない」

「決まってないってどうするのよ!?」

 いきなりかがみがトップギアで反撃してくるけど、そこまでテンション上げることでもないだろう。

 こっちだって慣れなくて四苦八苦なんだから



「中々ピンとこなくてな」

「悩んでるんだったら他の人に相談すればよかったじゃない!?」

「いやオレがやるって言ったし、そんなことできるかよ!」

「じゃあ他の予定は? 予定管理は責任もってよね」

「だって振り付けが決まらないと何もできないだろ?」

 オレのしごくまっとうな正論。だけどかがみの体は小刻みに震えている。



 もうかがみとは短い付き合いじゃない。

 色んなことをしてきた。

 だから分かる



 かがみがキレ―――



「アホかー!」

「アホとはなんだよ!?」

 余りのかがみの発言にオレも怒るけど、今回のかがみはまるで勢いが違った。

 ダーダネルス海峡で出てきたフリーダムよりも凄い



「アホだから、アホって言ってんのよ! 時間がないって分かってるでしょ!?

 とりあえず振り付けは随時決めていく! 他に基礎トレーニングも必要でしょ!?

 大まかなスケジュール構成と練習場所の確保は私とみゆきでやっておくから!

 ほんと頼むわよ!!」

「は、はい」

 あまりの怒涛の勢いのかがみの提言にオレはただ頷くだけ。



 確かに言われて見ればかがみの言ってることはもっともなことだ



 オレが圧倒されたからか、微妙な空気が流れる。

 特にこんなのを見慣れてないゆたか達1年生や隣のみさお、あやのは呆気に取られてる。

「あーかがみんや」

 そんな中でどこかのんびりとした声を出したのはやはりというか、なんというかこなただった。

「ああ!?」

 猛獣といっても差し支えない今のかがみの一睨み。

 だけどこなたは変わらぬまま、口に手を当てる。

「あれだけ嫌がってたのに、一番熱心でいらっしゃいますね」

「う、うるさい!」

 たちまち、かがみの顔は怒りの赤から照れ隠しの赤へと変わった。





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