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「それでは、これより席替えを行います
皆さん該当するご自身の席に移動してくださーい」
私も言ってから教壇を降りて、新しい席に移動します。
本日のHRはこれだけです。つまり席を変えたら後は自習となっています。
一番前の方は黒井先生と楽しそうにお喋りをしておられます。
私の新しい席は窓側の一番後ろです。
人によっては、良い席と言われる方もおられるのですが、私は太陽の光で黒板が見えなくなるか心配です。
それに端ですので、挨拶の号令が皆さんにちゃんと聞こえるかどうか
といった不安一杯な席となってしまいました。
「なんだ隣はみゆきか」
えっ?
振り向くと予想した通り、あの方が隣の席に座ってこられていました。
「よろしくな」
「シンさん、こちらの………?」
「ああ、ここならサボっててもバレにくいよな」
「そうでもないですよ、教壇からは結構みえてます」
「えっマジ!?」
「はい」
「なんだよ、だったら黒板見にくくて損な席じゃないかよ!?」
「そうですね」
「その割にはみゆきは嬉しそうだな」
「そうですか?」
「ああ。どうしてだ?」
「さあ?」
「なんだよー教えろよな」
「秘密です」
「なんだよ〜」
そんなやりとりで私とあの方の自習の時間は終わりました。