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「ふむ、作ってみたら案外面白いね」
「えへへ」
二人で協力して作ったカステラを仕上げのオーブンに入れ、ちょっと一休み中。
カステラの他にもテーブルには羊羹やゼリー、後ポテトチップス等々こなちゃんと作ったお菓子がいっぱいに置いてあるの。
ちょっとしたお菓子の家状態?
「でも作りすぎたね」
「あははちょっとね、でも半分は持って帰るよ」
「それじゃあ、かがみ相手じゃあ半日も持たないね」
「わたしもお姉ちゃんたちもいるから、一回分くらいかも」
『ただいま』
こなちゃんと話していると、あの人が帰ってきたの
ちょっとこの光景にはびっくりするかな?
でも
バタン
あの人はキッチンに顔をだすこともせずに、まっすぐに自分の部屋に入っちゃったの。
少しくらいは覗いてくれるかもって思ったのに
チーン
わたしたちはカステラが焼き終わったのに少しの間、立つことができなかった
「しょうがないよ、思い通りに動いてくれたらEASYモードだよ」
こなちゃんはそう言って肩を竦めて見せるけど、やっぱりその顔は寂しそう。
わたしもせっかく立ち直りかけたものが、またしぼんでいく。
誰のせいでもないのに、やっぱり過ぎた希望なのかな………。
重い腰をようやく上げて、カステラをオーブンから出す準備をする。
「あれこなちゃん、そこのお菓子食べた?」
「へっ? あれ、減ってるね、明らかに」
テーブルに一杯に置かれたお菓子は、綺麗に一品ずつ無くなっているの
でもさっきまでちゃんと全部あったのに……?
普通は誰か入ってきたと思うけど、ドアは閉まったままだし、入ってくる音もしなかったし………。
「し、心霊現象!?」
「い〜や、人だね」
「へっ?」
「あ〜つかさー危なーい、見るからに凶悪そうな人が後ろにー」
「えっ!?」
「なに!」
こなちゃんのなぜか棒読みっぽい言葉に後ろを見るよりも速く、
テーブルの下から出てきたのはあの人だったの、両手にプリンとゼリーを持って