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「……どうしてこうなった………」
見慣れたキッチンに、あまり見慣れてない料理器具がおかれてる光景にわたしは呟いた。
本当だったら今頃、貯まっていた深夜アニメを見つつ、夜のネトゲイベントにそなえているはずだったのに
「こなちゃんごめんね、家に帰ったらお母さんもう夕飯の準備してて」
いかにも女の子という可愛い感じの薄いピンク色のエプロンと白い三角巾をつけたつかさが謝る。
ちなみにわたしも色こそ違うものの同じ格好。
「いや、まあ、そこはいいけど…なにゆえお菓子作り?」
「うん、こういう時は甘い物を作って、食べたら気持ちが落ち着くから!」
「そ、そうなんだ〜」
ぱぁという後光が指すような笑顔でそう言われたら、言葉がない。
わたしも料理はする方だがつかさの境地は今イチピンっとこない。
料理とは必要だけど結構面倒臭いものだから。
「……ごめんね迷惑だったかな?」
「そだね〜」
「はうっ、ごめんね………」
「でもつかさが珍しく提案したんだから、たまにはつかさとのフラグゲットしときたいじゃん!」
「うん! ありがとうこなちゃん!」
実際一人でぐちぐちしてるより、同じ不満をもってるものと話してる方が健康的ということが、最近になって分かってきた。
そして自分にはそんな人が結構いる、これは幸運といえるのかもしれない。
これも最近になって分かってきたこと。
「よーし、じゃあ受験組じゃいない力をみせてやろうではないか!」
「こなちゃん、大学受験するんじゃ………」
こうしてわたしとつかさのストレス解消が始まった。