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「るる、ばるさみこす〜♪」
ポケットからハンカチを取り出して、濡れた手を拭く。
「か〜えろ」
ハンカチを戻して、女子トイレから出た時だった。
どん!
「きゃっ!?」
「うわっ!」
いきなり横からぶつかられて、わたしは尻餅をつ………
「ワルイ」
着く前にわたしの体を支えたのはあの人。
いつも思うんだけど、凄い運動神経!
ぶつかってたはずなのに、あの人は全然よろめいてもいない。
「ワルイ」
もう一度謝ってくるあの人の顔がすっごく近くって、わたしはただこくこくと頷くだけ。
「シンちゃん、あの―――」
「つかさワルイ、急いでるんだ」
あの人は傾いていたわたしの体を戻すと、それだけ言って走って行っちゃったの………
そしてわたしは一言も発することができずにただあの人が言った方を見送ってるだけ
最近、あんまりお話ししてないな
もちろん登校や下校、昼休みは一緒だけど、それはみんなでいる時間だから。
それにわたしはこなちゃんみたいに積極的に話にいけないし、休み時間はあの人はクラスのみんなと話してるし………。
最近だと女の子とも話してるし………
「シンちゃんのバカ〜」
恋人でもないのに、言ってみる。
あの人にとって、わたしは最初の方に仲良くなった女子、それだけなのかも………