危なかった、実に危なかった

 さっきのシンに対するあの態度。

 もう少しで、Nice boatフラグを一つ取るところだった。

 それをいつもの感じに戻せたのはひとえに賢者と称される、並々ならぬ精神力のたまものといえる。

「泉〜どこ逝っとんねん!」

「ぐあっ!?」

 心の中のつぶやきにすらツッコミをいれてくる黒井先生、エセとはいえさすが関西人。



 痛む頭をさすると、シンと目があう。

『ざまあみろ』笑って口だけを動かしてきた。そして黒井先生に鉄拳を喰らう。

『ざまぁ』とこっちも笑って返すと、悔しそうに睨んできた。





 自分がヤンデレかするかどうかは置いといて、うすうす分かってはいたことではあった。

 最近シンはこの世界に、周りに打ち解けてきている。



「ちょっと、アスカ君掃除当番でしょ!?」

「バカ言うなよ、昨日ちゃんとしただろ」

 シンは当初は女性陣から、『怖い』『すぐ怒る』『なに考えてるか分からない』といわれ敬遠されていたんだけど、

今はそんなことはない。



「掃除当番は一週間でしょうが!」

「今日はパス」

「そんなことできるかぁ!」

 日本この年頃では異性と接するというATフィールドちっくなものも元のいた世界の価値観とは違うため、

逆にシンはクラスの男子の中で女子と話す機会が多い。



 話せば悪いやつではない

 というわけで女性陣からの最初の評価も覆り、上々といえるもの。



 これはシンをゆる〜くする計画者としては喜ばしいこと。

 の、はずなんだけど

「じゃあな〜」

「明日はアスカ君、一人だから!」

 今度は別の悩みが増えた。



 シンが他の女の子を好きになるんじゃないか?

 他の女の子がシンに好意を持つんじゃないか?





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