「あちゃー!」

 勝敗が決した瞬間、私は首をがくりとうなだらせる。

 逆転負け



 シンちゃん先輩はスロースターターでかなりムラがあるタイプ。

 だから上手くいけば楽勝といえるくらいで勝てるけど、土壇場や接戦にはかなり強い。

 だから今回は速攻で決められなかった私の負け。



「こう、何か言うことがあるんじゃないか?」

 私が近付くと、モニターを向いたままで聞いてくるシンちゃん先輩。

 頬がゆるんでるのが、雰囲気で分かる。

「負けましたー」

 肩を大げさにすくめると、シンちゃん先輩が体を揺する。

 くーっ、悔しい!! 次は絶対負けない!!





「で何飲みます?」

 そしてお約束、敗者は勝者に何かを奢らなければならない。

 勝った時の飲み物はどんなものよりも美味しく、負けた時の飲み物はどんなものよりも苦い。

 だがこれも戦士の宿命なのだ。



「そうだな―――」

 百合百合ユリゆりゆり♪



 シンちゃん先輩がリクエストしようとした、まさにその時、タイミング悪く私の携帯が鳴る。



「あっ、そうだった」

 そういえば、ネタのプロットが出たら、送ってこいとか言ったけ………。

「いいよ、後で。ラストまでもう少しあるから」

「すみません」

 私はシンちゃん先輩に軽く一礼をして、一端外に出た。





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