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「ほい」
最初の授業が終わると、オレの机に包みが置かれる。
「ん? なんだ? 早弁用か?」
「違うよ、ゆーちゃんの分。今朝忘れていったんだよ」
「なるほど」
ゆたかは見た目とは違って、結構しっかりしている。
ただやはりそこはゆい姉さんとこなたの血縁だけあって少々抜けているところもある。
まあそこに愛嬌があるのは、2人と違うところだ。
「で、なんでそのゆたかの弁当がオレの机に置かれてるんだ?」
「わたしはゆーちゃんがお弁当を忘れたことに気付いて、学校まで持ってきた、後はお兄さんの役目っしょ?」
華を持たせてやろう、という感じのこなただけど、オレがその場にいたらすぐに気付いたはずだ。
ただそれが出来なかったのは、今日はオレが日直で早く出なきゃ行けなかったのと、こなたが寝坊してゆたかより遅く出たから、という言わば偶然に過ぎない。
「言ってろよ」
「とか言って、持って行くシンはいいお兄さんだね~」
口が減らないこなたの頭を押さえつけながら、席を立った。
「……それが御用ですか?」
ゆたかの教室前でバッタリ会ったのはみなみだった。
それしても、まるで教室の中をオレに見せない様に立ってるのは気のせいか?
「ああ、ゆたかはいるか?」
「……小早川さんには私から渡しておきます。
もう休憩時間も終りますから、先輩は戻ってくださって大丈夫です」
みなみの言ってる事は正しい。現に今すぐに戻っても次の授業にはギリギリだ。
でもどことなく言葉には棘が出ている、そう感じる。
「じゃあ頼むな」
オレはあっさりとみなみに託した。
恐らくオレの考えすぎだろう。
みなみとは最近会ってなかったし、別段怒らせる様な事もしてない。
それにオレはみなみの事をあまり知らない、元々こんな感じの子なのかもしれない。
「……はい」
それだけ言うと、みなみは背を向けて行ってしまった。
その行動には少々腹が立ったけど、次の授業がオレを待ってはくれなかった。
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