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「……親友が恋のライバルなのですか?」
しばらく考えて出した結論に頷くみゆきさん。
「そう言えば言っていませんでしたね、すみません」
恐らく言っても私は信じられないだろう、いや、今も信じられない。
親友と呼べる人達と争うのだ。自分に例えれば小早川さんと一人の男性を巡って戦うのだ。
そんな事は考えただけでも、途方にくれるしかない。
それなのにみゆきさんは嬉しそうにいや、それどころか、どこか誇らしげにすら見える。
それほどまでにみゆきさんとあの女性達の絆は固いのだろうか。少し羨ましい。
でも
「……ですが、先輩も嬉しそうでした、みゆきさんいる時と一緒くらいに」
みゆきさん達が例え強固な絆で?がっていても、先輩から見たら、数ある女子の一人に過ぎない。
「そこが泣き所といえば、泣き所なのでしょうか」
今度はみゆきさんの困った笑み。
先輩の話になると、みゆきさんの表情は次々と変わる。
「シンさんにとっては、私もその女性の方達も一緒なんです。『大切な人』という枠で」
何でも出切るみゆきさんだけど、言い切る事は少ない。
でも裏を返せばそれだけ自信があるという事。
「……信じられません」
私は正直に告げる。
そんな関係なんてあり得るとはとても思えない。
みゆきさんは優しいから騙されているのではないだろうか?
「ですから、直接シンさんと話して下さいませんか?」
「……えっ?」
「みなみさんがシンさんと話して、判断なさって下さい
何も話さずにただ勝手に思っているだけでは、誤解は深まるばかりです」
「……でも、先輩がそれに応じてくれるかは………」
もしもみゆきさんが言った関係が本当だとすれば、先輩は私の取った行動にもの凄い怒りを覚えているだろう。
さっきまでの私の様に
「大丈夫ですよ、私が頼みますから」
そう言うと、みゆきさんは鞄を開け始める。
「……どうして、そんなに………?」
手を尽くすのか、私はみゆきさんにいらぬ迷惑を掛けただけなのに
「私にとって、シンさんと同じくらいにみなみさんは大切な存在ですから」
みゆきさんは携帯を耳に当てながら、優しい笑みを浮かべた。