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「なんだよあれ!?」
オレが我に返ったのは、みなみとみゆきの姿が見えなくなってからだった。
「……岩崎さん、どうして? ………」
「知るもんか!」
言葉を吐き捨てる。訳が分からない
分かっているのは、気のせいと思っていた敵意が本物だったという事だけ。
「お兄ちゃん、きっと、岩崎さんには訳があって………」
「訳? 何があるってんだよ!? 一方的に言うだけ言って、こっちの言葉も聞かずに!?」
こなた達のお陰か、自分でも前よりは大分寛容になっていると思ってたけど、
さすがにあんな行動を取られて笑ってられるほど、お人好しになってはいない。
「そ、それは………」
「何だよ!?」
「……岩崎さんは、理由もなく、あんなこと、する人………、じゃない………」
ゆたかの言葉は途中で泣きじゃくる声へと変わっていた。
「……ごめんゆたか、ゆたかは何も悪くないのにな………」
何やってるんだオレは、これだったら前のオレと同じじゃないか
ゆたかだって驚いたはずだ。親友と思っていたヤツがいきなりオレに喧嘩を売ったのだから。
それなのにオレは
「……ごめんね、お兄ちゃん、わたし泣いたりして………」
感情に任せて大切な人を傷つけている。
何度も何度も
「一緒に考えよ、岩崎さんと仲直りする方法」
オレに心配を掛けまいと笑顔を作る、ゆたか。
その笑顔が痛い。
『……ここで何をしてるんですか、あなたは?』
全くその通りだ
悔しいけどみなみの言う通りだった。