「は〜い、善良な市民の皆様ご協力誠に感謝しま〜す」

 お面を頭に付けてオレ達に敬礼をしたのは、こなたの従姉妹で祭りの始めに出会ったゆいさんだった。

 しかし、本当に言ってた通りに警戒警備をしていたかというと怪しい。



「ふむふむ、じゃあ簡単な手続きをするからちょっと来てくれるかな?」

 ゆいさんが申し訳なさそうに言ってくる。

 祭りで楽しんでたところ、と思っているんだろうけど、似たような立場だったオレからすれば行くのは当たり前だ。

 ただこなた達は違うだろう。

 かがみの妹つかさは直接の被害者だから無理だろうけど、三人はなんとか免除させたい。



「ゆいねーさん、わたしとつかさが行くけどいい〜?」

「えっ? う〜んそれはちょっとね〜………、捕まえたのはシン君だから………」

 オレよりも先のこなたの提案に予想通りゆいさんは眉を潜める。

 というかこなたがなんで行くんだ?



「ほら、シンはつらい経験して日本に来たからさ、祭りを楽しんでもらいたいんだよ、ねっ?」

「う〜ん、……しょうがない、事情を知ってるゆい姉さんとしては協力するしかないね」



 そんな私的なことでいいのか? とも思うけど、オレも個人的な感情で動いたこともあるし、案外どこの世界でもそういうのは多いのかもしれない。

 それにしてもやっぱりこなたの真意がよく分からない。

 まさか本当に言葉通りとはこなたに限って思えないし………。



「じゃあそういうわけでわたし達は別行動になるんで」

「じゃあ終わったらメールか何かしてよ、適当に時間を潰してるから」

「りょうかい、つかさ行こっか?」

「うん」

 つかさはほっとしたような表情で、こなたの側へと寄っていく。

 その様子を見てオレは納得した。

 同じグループにいるけどオレとつかさは今イチ相性がよくない。

 だからこなたはオレの変わりを買って出たんだろう。

 普段はマイペースすぎるほどマイペースなこなただけど、ああ見えて友達想いのところがある。



「じゃあ、ごゆっくり〜」

「ハア?」

「なっ!?」

 こなたの謎の言葉にオレとかがみは同時に声を出す。



 でもやっぱりあいつのことは分からない





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