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私の疑惑は祭りを歩いて行く内に確信へと変わりました。
「えっ、あんたあのシリーズ読んでないの!?」
「巻数出過ぎだからな、こなたはラノベほとんど買わないし」
「じゃあ、今度貸してあげよっか?」
「ホントか? ……って金取らないよな?」
「取るか!! 人をなんだと思ってんのよ!」
「ワルイワルイ」
会話を続けるかがみさんとあの方。
あの方ももちろんなのですが、何よりもかがみさんがとても嬉しそうにされておられます。
その顔はどこかに照れも見え隠れし、とても『ただの』仲の良い友達とお話しているという様子ではありません。
その他にも、私もやったことがある行動をかがみさんはあの方に対して取られています。
かがみさんはあの方が好き
これはもう間違いないことです
それが分かったのでしたら、私は一体どうすればよいのでしょう?
かがみさんはとても素敵な方ですし、想いを伝えられて断られる方はまずいないでしょう。
あの方ともとてもお似合いです。現に今もお二人の姿は絵になっておられます。
ですがそれはあくまでも理屈でのお話です。
私の心はそんなもので納得はしてくれません。
だから迷っています。どうすればよいかを
「みゆき」
「えっ?」
いつの間にかかがみさんが私の隣におられました。
「どうしたの?」
私の様子からおかしさを感じ取られたのでしょうか、かがみさんの瞳は本当に心配そうに私を見ておられます。
やはり優しいんですね
その優しさに甘えてもよろしいですか?
私とこれまでと同じ様に接して下さいますか?
「待てよ」
口を開きかけた私に、後ろから祭りに場違いな冷たい、あの方の声が飛んできました。