祭り囃子が響き渡る中、集合場所にいるのは私と双子の妹つかさのみ。



「遅い!」

「だね………、ゆきちゃんは少し遅れるっていってたけど」

 きっちり何分遅れるとメールしてくるみゆきとは逆に、こなたは相も変わらずというか………。

 というか言い出しっぺが遅れるってどうなのよ!?



「やっぱり浴衣の人多いね〜」

 しかしつかさの方はそんなことをあまり気にしてないのか、きょろきょろと辺りを見渡す。

 待ち合わせをしてなかったら、きっともう出店に駆けていってるだろう

 これはまた使いすぎるな、私がちゃんと見とかないと



 とはいえ

 つかさの言った通り浴衣の人が思った以上に多い。こんなんを見るとまだまだ日本の文化も廃れてないと思う。

 あっ、あっちではカップルで浴衣かー



「どうしたの、お姉ちゃん?」

「なんでもない! なんでもない!」

 私は持っていた小物入れのことにも気が回らず、手をぶんぶんと振り回す。



 私とあいつ



 最近カップルを見ると勝手に、自分達を代入してしまう。

 とはいえ現実とは非常である。



 私とあいつは実際ただのケンカ友達くらいでしかない。

 原因はあいつの超がつくほどの鈍さもあるけど、私の素直になれない性格。



 もはや手詰まりといえる段階になってる私。

 もうちょっと一人ではどうにもならないし、やっぱり誰かに相談をしようか

 となると真っ先に思い浮かぶのがいつも行動を一緒にしている三人だけど



 現実的な面でみゆきの一択しかない

 みゆき本人は恋愛経験はないと言ってるけど、それでもみゆきなら、みゆきならなんとかしてくれる、

と思わせるのがみゆきの凄いところである。



 幸いにして今日は女四人、それに祭りの効果もあって気持ちもやや開放的、相談するには誠によい日である。

 よ〜し、二学期からは



「あっ、こなちゃん来たよ」

 静かに闘志を燃やしてる私の隣で、つかさが指を指す。

 そこに目を移すと、人影が二つ………。



 みゆきと先に合流したのかと一瞬思ったけど、違う

 ちょっと視界に入っただけで胸が苦しくなり、頭の回転が遅くなる。

 そんな体内変化が起こるのは、今のところたった一人のみ

 でもなんで? どうして!?

 今日は女四人のはずでしょうが!?





「やっほー!」

「……よう………」

 脳天気なこなたとは逆の挨拶をしてくるあいつに、私はただわなわなとあいつを指さすだけだった。





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