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「ではシンの誕生日を祝って…の前に」
わたしのフェイントに皆が盛大につんのめる。
「なんだよ? その前に、って?」
「いや〜やっぱりシンから一言挨拶もらおうかなと」
「そう言うのは苦手なんだけどな〜」
「シンちゃん、ガンバ♪」
シンは渋々といった様子でグラスを手に立ち上がった。
「え…えーと、今日はみ、皆様………」
「シン、固いよー」
「うるさい、茶々入れるな! えー、そのなんだ…今日は皆ありがとう!
去年の今日だったらこんなこと考えられなかった…と言っても去年もこなたとかがみからはプレゼントを、
みゆきにはメールをもらったんだけど………」
なぬっ、初耳!! わたしとつかさがほぼ同時にかがみとみゆきさんを見る。
「え、えーと、去年の事ですし………」
「そ、そうよ、時効よ時効! シン余計な事を言わなくていいから!!」
「わ、分かった」
確かに去年の今頃はわたしとシンはフラグたってなかったけど…あとで二人にはじっくり話してもらわないと
わたしは乙女の牙を研ぎつつシンの方を向いた。