「あっ、いたいた! みなみちゃんだ!」

 ゆたかはオレと繋いでない方の手でみなみの方を指差した。

 みなみの方もゆたかの声でこっちに気付いたのか、手を振ってくる。



「みなみ久しぶりだな。花火大会以来か」

「……はい…先輩、今日はありがとうございます」

「いやいや。で、まずは何処に行くんだ?」

「え〜とね…まずは映画を見に行こうかな、って、ねえみなみちゃん?」

 ゆたかの問いにみなみは無言で頷くが、別にみなみは機嫌が悪いというわけじゃない。

 ゆたかもそれが分かってるから、笑顔で話を続ける。



「お兄ちゃんもそれでい〜い?」

「ああ。やっぱりこの季節はホラー物か?」

「そ、それはちょっと…今話題のラブロマンスものがいいんだけど………」

「おいおい、そんな甘ったるいのかよ? ああいうのみたいに突然の出会いなんて、そうそうないんだぞ」



 オレの言葉にゆたかとみなみは困ったような笑みを交わす。

 2人共ああいうのに夢見る年頃だからな、オレの言葉等右から左だろう



「そう言えば、みなみは希望とかないのか?」

「………ユニークなもの………」

「なんだよそれ!?」

 予想外の答えにオレは思わず素っ頓狂な声を出した。





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