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『なんや、泉、柊まだ帰っとらんのか?』
『いや〜先生、人を待ってるんですよ』
『ああ、高良達か』
『すみません、お待たせしました』
『思った以上にかかっちゃったわね』
『別に待ってろとは言ってないけどな』
『ごめんねシンちゃん………』
『べ、別に謝る事じゃないだろ! そもそも待っててもらったのはオレ達だし』
その後、五人と別れたうちは職員室で頭を捻ったもんや
柊妹とアスカ。
こんだけ接点がなさそうに見える男女もそうないやろ。
少し内向的な柊妹とだいぶ攻撃的なアスカ。
そやけど二人がただ共通の友人がおるからっちゅう仲やないのは、空気で分かる。
不思議やけど男女、いや、人間ってそんなもんなんやろ
「ふ〜む理数系大学、結構むずいで?」
「別にできなきゃ書かないですよ」
「まあ大丈夫やろ、地歴公民以外は」
「うっ………」
泉の言葉を借りれば『ギャルゲー的環境』となってる今のアスカ。
男子からすれば羨ましいやろうけど、そんな環境でしかアスカは変われんかったかもしれん。
多種多様で、まるで共通性がないけど、異常に仲がいい四人。
そんくらい、あいつ達四人はアスカにええ影響を与えた。
そんで逆も。
うちも高校の時あんくらい、乙女しとったかな〜?
「じゃあオレはこれで」
「おう、ご苦労さん」
「……あっ、そうだ」
何か思い出したんか、アスカはうちの席と出口の丁度真ん中のところできびすを返して(しかも軍隊みたいな回れ右で)、戻ってきおった。
そして、クッキーが入った透明な包みを出してきおった。
しかも口はご丁寧にラッピングリボン付き。