『アンタ達に何が分かるんだ!?』

 分かってる、この男達が何者なのかはなんとなく

 でも混乱した頭はそれを否定してくる。

 それはもうただの意地としかいいようがなかった。



『分かるさ』

『だって俺達は』

『みんなそれを乗り越えてきた』

『そしてお前もだ、シン・アスカ』



 オレの一撃は4人の『オレ』に簡単に受け止められた。





『別に元の世界を忘れろなんて言わないさ』

『ただ、お前を大事に想ってくれる人達がいる』

『それは分かってるんだろ?』

 オレは頷かなかった。

 確かにオレはあいつ達を守りたい、そんな感情が最近心のどこかにあるというのは感じていた。

 でも、その逆は?

 オレは人に想われていい人間なのか?

 オレの過去を知ってれば誰だって、拒絶するはず



『今のお前の気持ちをぶつけたのか?』

『エッ?』

『ぶつけてみたら、案外うまくいくもんだぞ

 そして俺は、いや俺達二人はいつもそうしてる」

 4人の中で一番細身の『オレ』



『というかもっとそいつ達を信頼しろよ、自分が強いなんて思うなよな』

 その逆で4人の中で1番血色の良い『オレ』、毎日いいもんでも食べてるんだろうか?



『でも、そんなの!』

 いきなりそれを信じろだって!?

 やってみろだって!?

『なんの確証もないのに出来るもんか!!』

『だぁぁ、難しく考えすぎだ! もっと、こう、『楽しめ』!』

『ハァ?』

 訳の分からんことを、力の抜けきった顔で言ってくる『オレ』。正直オレがこの顔をするのは違和感がハンパない。



『みんな、もう時間だ』

 メガネをずりあげて、懐中時計を覗く『オレ』。

 そして、世界が歪んでいく。





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