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『で、その森の精霊がなんの用だ?』
『道が分らないなら、乗っていきませんか?』
『いや、いい。つかさに任せるともっと迷いそうだ』
『はうっ! ひどいよシンちゃ〜ん。それにわたしは森の精霊だよー』
『実はあなたはご招待されてるんですよ』
なにやらいつもと変わらない様な話の流れを止めたのは、森の精霊の毛皮に隠れていたのか、1人の…バスガイド………。
『えーっと、みゆきさん、じゃないんだな?』
『はい、違いますよ☆』
ほがらかに言うどこをどうみてもバスガイドの格好をしたみゆきさん。
なんだ、このツッコンだら負けみたいな雰囲気は
『というわけで、お乗りになって下さい
案内は私が致します』
頭を2、3度かき、オレは森の精霊とバスガイドを交互に見つめる。
はっきり言って怪しすぎるし、ありきたりすぎる流れだ。
普通の人間ならここは断るところだ。
ただ知ってる人間、それもかなり親しいやつとそっくりの顔をしてるの相手だと、それはしづらい
『じゃあ頼む』
オレの言葉に森の精霊とバスガイドは嬉しそうに微笑み合った。
『とうちゃく〜』
バスガイドに促されて、飛び降りて後ろを振り返るともう2人(?)はいなかった。
『おお〜来た来た』
そして変わりに姿なき声が聞こえてくる。
『もしも〜し、どこ見てるんですか〜?』
声のする方、つまり正面を見ると、小さいものが目の前にいた。
それはまるで
『虫?』
『よーせい! 相変わらず空気の読めない子だよ』
やれやれといった様子をとる、オレの知ってる小さな少女の顔をした、さらに小さな物体、妖精。
『お前か、オレを呼んだのは?』
『のんのんのん♪』
小さな指を振るよーせい。
本家に負けず劣らず、ムカツク行為が板に付いている。
『わたしはただの道先案内人だよ☆』
『とかいって、またオレを新作ゲームの買い出しに使う気じゃないだろうな』
『ちょっ!? わたしのイメージそんななの!?』
残念ながら、といった様子でオレは大きく頷いてやる。
そんなオレの様子に明らかに納得がいかない顔のよーせい。
『もういいよ。取りあえず付いてきて』
仕事が優先なのか、フニョフニョとオレの前を飛ぶよーせい。
オレとしても行く当てがないので、その後に続く。