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気がつくと、オレは周りが虹色の世界にたたずんでいた。
見慣れない景色だけど、この感覚は初めてじゃない。
オレが元の世界にいた時に経験したあの感覚に似ている。
次元を飛び越えた時の感覚に
『戻るのか、オレ?』
自分がなんでこんなに戸惑っているのか
オレは元の世界にあれだけ戻るのを望んでいたはずなのに
あそこでしないといけないことがあるのに
なんで戸惑う?
戻りたくない?
そんなことはありえない、絶対に!
でもそれと同時に、浮かび上がる幾人かのこの世界で出会った人達の顔。
何も言わないで帰るのかオレは?
『それはさすがに、アレだろ』
『アレ』とは何を指すのか、正直オレにも分からない
ただこのまま元の世界に戻―――
どしーん、どしーん
大きな、でもどこかのんびりとした足音が後ろから、オレの思考を遮る。
そしてその足音の主は、オレの前に止まり
『こんにちは〜』
これまたのんびりとした声で、オレに話しかけてきた。
『つ、つかさ?』
『ち、違うよ〜わたしは通りすがりの森の精霊だよー』
慌てて首を振る、自称森の精霊。
確かに顔はつかさだけど、大きさはオレの3倍近くある。
それに猫かなんかよく分らない着ぐるみを着てるし