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どうもおかしい。
私は向かいの席で座ってジュースを飲む男『アスカ・シン』を見ていた。
おかしいというのは彼が私に向ける敵対心だ。
もちろん私も自分が人当たりは良くない事は十分知っている。
ただそれを引いても彼の私に対する敵意はおかしい。
余程、生理的に合わないのか…それとも私が邪魔なのか。
別に私としては初対面の人にそう思われてるのは慣れてるし、たいして気にも留めない。
それよりおかしいのは
「そうそう、それでさーあのコンボがね」
「でもそれは無理なんじゃないか?」
ファーストフード店に入ってから会話はこうが九割、残りの一割を私と彼が二対八の比率で分けるという形で構成されていた。
私としてはこうの理解不能な会話の相槌をする手間が省けていいのだけれど………
何故彼はこうと対等に話せているのか?
初対面の人は大体こうのテンションの高さ、強引さに圧倒されるのに、彼は上手く食いついたり、すかしたりと対処法を心得ている。
二人の話ではお互い初対面のはず………。
こうが嘘を付いてるという事はない。
こうは普段どうでもいいウソは付くけど、大事な事はちゃんと私に話す。
という事は残る可能性は…彼が前からこうを知っていて、これを機会にこうに近付こうとしてるという線。
見た目や言動から優等生とは思えないし、この可能性が高い。
私に過剰なまでの敵意を向けてる理由も説明が付く。
こうは鋭いところがあるのに人が良い、面倒見が良すぎる。だから下心やら悪意には気付かない。
私はその逆、まずは人を疑ってかかる。
それは例えこうであろうともだ。
ただこうはそれでも構わないと笑って私と付き合っている。
お人良しというか、変人というか。
だから私がしっかりしないといけない。
♪ 百合百合ユリゆりゆり♪
「もしもし、ひよりん? ……だからそれはダメだって。新しいネタ?
あ~ごめん、席を外すね」
こうは笑って席を立つ。
私と彼だと場の空気が悪くなるこそすれ良くなる事はない。それを分かっているのかしら?
でも今は都合がいい
目の前の男の皮を剥ぎ取るためには
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