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「アンタだよな? さっきオレを負かしたのは」
そう声を掛けられたのは乱入が一区切りついて、仕方なくNPCとの対戦に甘んじている時だった。
「ああ、君ね」
私は声の主の姿を認め、笑いかける。
その相手は先程まで私と死闘を繰り広げていた男の子だった。
「参ったよ、まさかあんなところでアレをされるとはな」
そう言って彼はまだ空いてない缶ジュースを台の隅っこに置く。
どうやら因縁を付けに来たって訳じゃないみたいだね。
「まあ、君もかなりやるよ、私にアレを出させたのは数少ないよ」
私はジュースを一口飲んで、相手の健闘を称える。最もゲーム中なので相手の方を見ながらという器用な事はさすがに出来ない。
しかしまあ掛け値なしに彼は強かった。私が勝ったのは本当に偶然。運命の女神が微笑んだから
「スリルあったよ! また暇があったら対戦しようよ!」
「ああ、次は勝たせてもらうからな!」
彼が笑ったのが少し視界に入った。
実際に彼との勝負は楽しかった。
最近私の相手は弱すぎる人達ばかりだったし(一名除く)、どちらが勝つか最後まで分からないバトルは久しぶりだった。
「おっ、お客さんだ♪」
画面には『挑戦者現る!!!』の文字が出ていた。
「じゃあ参考にさせてもらうかな」
「私のテクは見ただけじゃ参考にならないよ〜!」
さすがに人が相手となればおしゃべりしながら出来るもんじゃないから、ここまで。
私は軽口を終えると目の前の画面に集中した。