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なんであいつはそういうことを言わないのよ!!
皆と別れた帰り道を私は憤懣やるかたない思いで歩いていた。
確かにそのことを今までに一回も聞こうとしなかったのは事実である。
だからといって今の今までなんにも話題にすら出さなかったあいつ、秘密主義にもほどがある!
どうして私に祝わしてくれないのよ!
半ば八つ当たり
冷静な自分がぎりぎりのところでブレーキを掛ける。
「お姉ちゃん?」
「ううん、ごめん」
心配を掛けたくない存在を確認して、私は完全に止まる。
まだ今日は終わってない。
まだ間に合う。
誕生日を祝われて嬉しくない人なんて、この歳ではいない。
私もそうだし
「お姉ちゃん」
「ん、なに?」
「え〜と、なにか用事? 鞄持って先に帰ろうか?」
さすがは双子、分かってなくっても分かってくれてる。
私は鞄から財布だけを取り出しつかさに預ける。
夏少し遊び過ぎたからその中は厳しいけど、あいつはすっごく鈍感なんだし、私の方からいくしかないじゃない!
「そう遅くはならないから」
私はつかさに告げると駆け出す。
でも絶対見つける!
悔いはしたくないから
日常も勉強も、恋も
そして何より私は祝いたいからあいつの誕生日を