2
もはやこういった日の恒例行事となっているファミレスでの昼食。
それはあの方が加わって五人となっても変わりません。
ただ男の方があの方お一人なので、少し居づらそうですが。
「シンさん、もうお食べにならないのですか?」
その為でしょうか、いつもの、といっても私は学校での昼食時しか知りませんが、あの方の食事量は少ないです。
「今日は食事制限なんだよ」
不機嫌な顔で水を取ろうとするのを、泉さんが絶妙のタイミングでそれを引かれます。
「ど、どこかお体の具合でも?」
「全然全くあるもんか!」
……多分、私のせいではないとは思うのですが、あの方の怒りをどんどん膨らましてしまっているような………。
「いや〜お腹をすかしといてもらわないとね〜」
助けを求め視線をさまよわせていると、泉さんが手を差し伸べて下さいました。
ですがおっしゃられている意味が分かりません。
「イベントの為、ね〜シン?」
「イベントって、お前なー」
補足の言葉も読解力のない私では、やはり意味が分かりません。
とりあえずあの方の体に、異常がないということだけは分かりましたので一安心です。
「また徹夜でネットゲームとかか?」
かがみさんの答えにも、泉さんは指を振られます。
表情から察するに、どうやらはずれの様です。
「下らないもんだよ!」
「いやいや下らなくないよ、だってシンの誕生日だもん」
『えっ?』
凄く小さい声なのに私とかがみさんの声が重なります。
それはいかに私達にとって驚くべきかを端的に表してると言えます。
今までの会話をまとめると今日、九月一日は
「うん、今日はシンの誕生日〜☆」
嬉しそうな泉さんとは対照的にあの方は、不機嫌ここに極まれりという顔で窓の方を向かれました。