6
「ほい、付けてきたわよ」
バンドがこしょばゆいので、なるたけ肌に干渉しないようにして私は席にもどる。
ちょっと時計のそれ、見せてくれ。
シンはそう言って、私が席に座るなり掌からモニタの時計を奪う。
やっぱしアンタ、それが見たいだけかい。
ピッ
♥64
「へぇ、今の柊の心拍数は64なのか。ふーん」
な、なんだコレっ?みょ、妙に恥ずかしいぞっ?
思わず両腕で胸を隠す。や、そうじゃないでしょ、ってのは、
恥ずかしながら、やってから気が付いた。
ピッ
♥72
「あ、上がった」
―――ヤメロ、実況スンナ。
ふてくされてこぼす私を見て、彼はにやりといじわるそうに笑う。
………あ、やば。
そう思った時はもう遅かった。
両の掌を胸の前でぎゅってして、身構える私より速く、すぅ、とシンの顔が近づく。