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大事な話がある。半年後に高校受験を向かえた末っ子が家族全員を集めた。
まさかの進学せずに家の神社の手伝い。家族全員にそんな考えが過ぎった。
「あ、あのね、わたし、お姉ちゃんと一緒の高校に行きたい!」
家族の予想とは裏腹に少女は無難ともいえる進路希望を発表した。
少女の宣言に双子の関係にある少女は、心の中で安心を覚えていた。
少女達はいつも一緒だった。
性格は正反対といってもいいのに、凄く仲が良かった。ずっと喋っていられた。
そんな自分達が別々の高校に通うのが現実に思えなかった。
自分もそうだし、妹の方もそうなんだろう。
だから少し妹の学力では難しいところを悩んだ末に選んだのだろう。
「確かに二人が近くにいてくれた方がお父さんも安心だし、その学校に行くのなら反対する理由もない」
二人が志望した高校は家からも通えて、県内でもそこそこの進学高として名前が知られたところだった。
中学からの友人も何人かはここを志望しているし、
ここを卒業すれば大学に進める可能性もあるし、選択としては良い方といえた。
「でも、ここって難しくないの?」
さすがにご近所ネットワークを使っている母親の言葉に双子の妹が固まる。
もちろん少女の方で調べてみた結果、自分の学力ではちょっと背伸びをしているということは分かっている。
分かってはいるが、いざ言われると困ってしまう。
勉強をいつも以上に頑張るとは決めているものの、自分一人ではたしてできるのだろうか?
だができないと自分と双子の姉は離れ離れになってしまう。
助けを求めるように姉の方を見ると目が合った。
でも声に出して言うわけにはいかなかった。
この選択は自分勝手なものということを知っていたから
「他のところに行くってのは?」
「家から通える高校なんて他にもあるよ」
上の姉二人が末っ子の心配をして代案を出す。
二人とも少女の性格や学力を、知っているからこそ心配しているのだ。
しかし、双子の姉は違った。
双子の妹が困っている、なら自分が取る道は一つしかなかった。
「仕方ないわね、私が勉強を見てあげるわよ」
家族の注目が双子の姉に集まる。
こういう勉強事に関しては家族から、信頼されている自負が少女にはあった。
案の定、場には安堵の空気が流れる。
「一緒にやるんだったら心強いわね」
「そうだね、受けるだけなら損はないし、受けてみていいんじゃないかな」
「うん!」
両親の許可に双子の妹が涙を浮かべ笑う。
やはり姉は優しい、勝手に言い出して困っている自分を助けてくれる。
こんなに優しくて、尊敬できる姉とまだ離れる覚悟が少女にはなかった。
笑顔を見て思う
自分は物凄いお人良しで少し危なっかしい、この妹が側にいることを望んでいる。
慕ってくれてるからだけじゃない、いてもらわないと困る存在だから
「いい? 私と一緒に勉強する以上、絶対に落ちないように!」
「うん、頑張る!」
高校生になると、一緒にいるのは今より少なくなるのかもしれない。
でもそれは、自分の片割れと同じくらいに大切な人達ができるのが理由かもしれない。
そんな人いない? いる?
運命は誰にも分からない