「う〜ん、ちょっと待って待って………」



 そんな乱雑なやり取りを1つ1つ処理していき、徐々に会議の形にしていくかがみ。

 そんなかがみの孤軍奮闘ともいえる働きに感銘を受けたのは、先ほどかがみぶつかった少女みゆきだった。

「では一つの役割を数人で行うというのはいかがでしょうか?

 役割を分担しても、私達の人数だと足りるはずです」

「いいんじゃない?」

「それなら、まあできそうかな」



 みゆきの提案に賛成の声があっちこっちで起こる。

 かがみは驚きと感嘆の入った眼差しで、提案者のみゆきを見つめる。

 自身の双子の妹の様に少しぽわんとしてる雰囲気があった少女が、適切な意見を出しているのだから



「そうですね、この部分はおっしゃった様にされた方が、どうでしょうか?」

 出された意見を瞬時にまとめ、司会であるかがみに上げてくるみゆき。

 その姿はあくまでかがみのサブ的なものだが、かがみはみゆきがフォロー『が』出来る人ではなく、

フォロー『も』出来る人だということに気付いた。

 司会はかがみがそつなくやっているし、わざわざ出過ぎることはないとみゆきは判断はしたのだろう



 こんな子もいるんだ



 みゆきだけが周りの1年生と違って、2年、3年と学年が違う人に見えてくる。それくらいみゆきと自分を含めた他者とは雰囲気が違う。

 悔しいというのを通り越して、尊敬の念が湧いてくる。

 だがそれも一瞬だった、今のかがみの仕事は自分の場を取り仕切ることなのだから



「OK! じゃあそれで行きましょうか」



 こうして2人の少女の元、会議は粛々と進められていった。





「では今回はこれで。桜庭先生には私から連絡しときます」



 会議は最初の沈黙が嘘の様に進んだ。

 後は今回仕切る立場だったかがみが報告という形で、会議はお開きになった。

 ひかるが帰ってくるのを待たなければならないが、それでも予想よりは早く帰れることにかがみは胸を撫で下ろした。



「あのー」

「あっ、お疲れ様。今日はありがとう」

「そちらこそ、今日は進行お疲れ様でした」

「ううん、あなたがいてくれたから楽だったわよ」

 かがみが頭を下げると、みゆきもそれを見てより丁寧に頭を下げる。



 どちらかがこの場にいなければ、未だ会議は続いていただろう

 2人しか分からない、お互いの大変さ

 男であれば手を叩きあうところだろうが、少女達は優しい微笑を交し合うだけだった。





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