『雪の降る日に』
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明日は恋人たちの日、クリスマスイブ。
だけどわたしは明日は補習。
でも、悲しくなんてないよ♪ 〜なぜなら。
「お〜い、お〜いつかさ」
「……はっ! やっさいもっさいか………」
「また、あんたどっかにとんでたわね………」
お姉ちゃんが少し呆れて様子でわたしに言うけど、でも明日の事を考えるとついつい………。
「だから、とんでいくな! もう少しなんだからしっかりやりなさい!」
「あ、あう〜、ご、ごめんね、お姉ちゃん。」
今、わたしはお姉ちゃんに明日の補習の宿題を見てもらってるの。
一時間くらいで終わる量なのにもう三倍もかかってるよ〜。
「それはあんたが十分おきにどっかとんでいくからだろ!」
「はうっ! ど、どんだけ〜」
さ、さすが双子。わたしの考えてることは簡単に分かちゃったみたい。
「浮かれ過ぎじゃないの? いくらあいつと二人だけで学校に行くからって」
「……お姉ちゃん、もしかして嫉いてる?」
「ばばばば、馬鹿いっ、言ってんじゃないわよ! あ、あいつと一緒だったとしても補習なんてう、受けたくないわよ!!
そ、そもそもわたしが、あいつといっ…って何を言わすのよ!!」
いつもしっかりしているお姉ちゃんも、あの人の話になると、かわいくなっちゃうな〜と思うと笑いが込み上げてくるよ。
「も、もう終わりでいいでしょ!? それだけ出来てれば大丈夫よ」
「うん、そうだね。ありがとうお姉ちゃん」
「お礼は補習が受かってからいいなさいよね」
「は、はう〜」
……もういつものお姉ちゃんだ……… 。
「ほら、あんたは明日早いんだから、もう寝ちゃいなさい」
「うん、そうするね。おやすみ、お姉ちゃん」
「おやすみ〜」
お姉ちゃんに挨拶して、わたしは自分の部屋のベットに入ったの。
ライバルはお姉ちゃんを含めて多いけど、明日はわたしのハンターチャンス。
一言でも多くあの人と話がしたい…一歩でもあの人との距離を縮めたい…明日が待ち遠しすぎるよ〜!!
……とほほ、結局ほとんど寝られなかった………。
でも、今日あの人に会えるから大丈V!
そう思うと準備も朝御飯を食べるのもいつもの十倍は早くなっちゃっうよ〜。
「いってきま〜す」
わたしはイブの日の一歩目を踏んだ。