「はいシンちゃん、あ〜ん」

「あ〜ん……、これ何味だ?」

「え〜とねバルサ―――」

「いい、聞きたくない」

 シンちゃんはなぜか首を振って自分のアイスに口を付ける。

 確かにちょっと失敗しちゃったかも、名前につられてついつい………。



 失敗っていえば今日はちょっと舞い上がり過ぎちゃった。

 でもね『お姉ちゃん』がこんなにもすごい効果があるなんて知らなかったんだよ!

 しかも言ってくれるのがあのシンちゃん、優しくて強くて、なんでもできて、

そんな格好よくて大好きなシンちゃんに『お姉ちゃん』って呼ばれたら、そんなの無理だよね?



 やっぱりお姉ちゃんって難しい。

 だから



「さーてじゃあ行くか、つかさお姉ちゃん」

「ううん、いいよもう」

「ハッ?」

「もう『お姉ちゃん』じゃなくて、いつもみたいに『つかさ』で」

「……いや、別にオレは構わないぞ?」

「だーめ」

 わたしは座った状態からシンちゃんの腕に飛びつく。

 さすがシンちゃんはよろけることなくわたしを支える。



「わたしだけが楽しんじゃだめだもん」

 なんとなくいつもと違ったシンちゃん。

 原因はよく分からないけど、きっとわたしだけが楽しんじゃってたから

 シンちゃんといることを楽しもうとしなかったから

 シンちゃんも楽しい気持ちにならないと。



 だってこれは想い合ってる同士のデートなんだもん



「分かった」

 シンちゃんは空いている手でわたしを引き寄せる。

 そしてわたしとシンちゃんはすごく短いキスを交わす。

 うん、この体全体を流れる暖かい気持ち、これがシンちゃんが隣にいるってことだよね!

 できたらずっとこうやって、シンちゃんの隣にいたいな



「じゃあ行くかつかさ」

「うん!」



 わたしたちカップルは次のデート場所へ向かったの。





〜 F i n 〜   






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