『The comom feature is white』





「なあ、シン?」

「なんだよ」

 体育の授業の休憩中に白石がオレに話しかけてきた。

「お前、お返しとかはもう決めたのか?」

「ハァ? なんの?」

「とぼけんなよ!お前結構チョコ貰ってたじゃないか、くそーっ! 羨ましい奴め!」

 1人で暴走して、オレの襟首を掴む白石。



「ちょ、ちょっと待て! 何の話か全然分かんないんだけど………」

「だ・か・ら、ホワイトデーだよ! ホ・ワ・イ・ト・デー!」

 そう言ってなおもオレをかくんかくんと揺する白石。

「何だよそれ?」

「……お前、マジで言ってる?」

「ああ」

 …………。

「……う、ヴソぉぉぉぉぉぉぉ!?」

 白石のリアクションの凄さは、オレにかつての上官でリアクションの達人と言われていた人を思い出させた。



「ホワイトデーっていうのは、こほん…三月十四日にあるもので、

簡単に言うとバレンタインのお返しに、男子が女子にプレゼントを渡す日なんですね〜」

 なぜか敬語で説明を始める白石。しかもなんか喋りなれてるな…ってもう数日しかないのかよ!?

「プレゼントってのは何がいいんだ?」

「そうですねー。セオリーはマシュマロじゃないですかね?」

「マシュマロか…それなら、オレの金でも買えるな」

 思った以上の出費にならずに済みそうなので、オレは思わず胸を撫で下ろす。

が、白石の次の言葉にオレは窮地に立たされる事になる。



「ただ〜し! それは義理チョコだけの話! それ以外のチョコにはそれに見合ったプレゼントを渡すのが定番です!!」

「な、なんだってー!?」

 という事は、義理以上の手作りチョコをオレにくれたかがみ、みゆき、つかさには、

それ相応のプレゼントを渡す必要があるってことか………。

 3人専用に改造したデスティニーを渡そうかとも一瞬思ったが、それを作る時間も金も今のオレには無かった。



「義理以外には何をプレゼントしたらいいんだ?」

「お、お前、やっぱり!?」

「ち、違う! 本命じゃないけど、手作りのチョコをもらったんだよ!!」

 再び暴走しようとする白石をオレは慌てて宥める。

「それでも羨ましいっうのー!! まあいいや、そうだな…手作りのお菓子とかどうだ?」

「お菓子ね〜」

 確かに女でお菓子が嫌いなヤツはいないだろうけど…オレがお菓子を作れないんだけど…そうだ!!

 オレの脳裏にある考えが閃いた。





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