『The Previous Day』





「ん?」

 オレがいた世界では、ほとんど見かけることがなかった壁に掛けるカレンダー。

 それをめくったオレは声を上げる。

 なぜかは分からないけど、休日という意味の赤い日付が多い。



「どったの?」

「あっ、いや、これな」

「あーあ、G.W.のこと?」

「なんだそれ?」

「由来は知んない。ただその日は学校が休み」

「ホントか!?」

 お金を出してもらって、行かせてもらってるのに言うのもなんだが、やっぱり学校が休みになるというのは嬉しい

 とはいえいきなり数日の休み、どう過ごすか………



「バイト入れるかな」

 休日ということはバイトが終日入れる、はっきりいってこれは美味しい。

 居候は何かと金がいるのだ。



「あ〜残念」

 ところがこなたがわざとらしく肩をすくめる。

「なんでだ?」

「シフトは三日前に出したじゃん」

「あっ………」

「きっと稼ごうと思ってる人は、ガッツリ入れてるからもう無理だね」

 考えてることは所詮一緒ということか

「なんで言わなかったんだよ!」

「聞かれなかったから♪」

 恨みがましい視線を向けるものの、あっさりと流すこなた。

 腹が立つけど、月末までカレンダーをチェックしなかったオレも悪い。



 もう1つバイトをオレはしてるけど、こっちは完全に個人経営の喫茶店。

 良くていつもと変わらぬシフト、最悪全部休日なんて可能性もある。

「まあ、さすがにそれはないか」

 オレは笑いながら携帯を取り出した。





『いや〜少年、悪いが来週のG.W.は休みだ』

「なっ………」

『ちょっとエル・アラメインに修行に行ってくる

 次に会う時はオレはもっと強くなってるさ、楽しみにしといてくれたまえ、それじゃ』

「なんのだよ!?」

 修行ってなんだ!? コーヒーか!? ケバブか!? それとも腕にサイコガンでも付けるのかよ!?

 そんなことはないどうせあの人とのバカンスだ、バカらしい!

 そんなことよりどうしてくれる、オレの貴重な収入源!



「あークソ!」

「おや、シンいずこへ?」

「寝るんだよ!」

 もはやオレに残されたのはふて寝という選択肢のみ!

「おやすみ〜」



 お前も早く寝ろ!



 オレは心の中で手を振るこなたに強く言い放った。





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