ぐつぐつ

「よしっ!」

 ぱちん!



 煮立った鍋の火を止める。

 取り合えずこれで準備万端!

 後はシンちゃんが帰ってくるのを待つだけ



 ……よく考えたら、付き合ってもう一年以上経つのに、こうしてシンちゃんの帰りを待つのは初めて

「ランラン♪ ルンラン♪」

 鼻歌軽やかに、エプロンとコック帽を外す。

 すごっく嬉しい

 まるで本当の奥さんみたい♪



「……シンちゃんの奥さん」

 そう言うだけで顔がほころんできちゃうよ

 こうやってシンちゃんの帰りを毎日待って、シンちゃんの為に料理を作って



 なりたい

 すっごくなりたい



 でもそれはまだ、そういうチャンスがあるだけ

 シンちゃんはまだ大学生活が半分以上残ってるし、わたしなんかよりも可愛くて、

シンちゃんのことを分かって受け止めてくれる女の人が出てくるかもしれない

 未来は誰にも分からない



 だから今は自分にできることを

 シンちゃんと一緒にいられる日を夢見て



 がちゃ



 まるで見計らったようにシンちゃんが帰ってくる。

 わたしはエプロンとキッチン帽を付け直して、玄関へと向った。





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