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夢だと思いたかった。自分が徹夜してまで作ったものが、あの人の為に作ったものが………。
「つかさ、大丈夫? ………」
こなちゃんはわたしに駆け寄ってきて、声をかけると潰れた物に少しだけ目をやる。
お姉ちゃんもこなちゃんもわたしにどんな言葉をかけるか考えてるみたい………。
「ううっ………ひっく………」
「……つかさ………」
わたしってやっぱドジだ…全てを自分で台無しにして、おねえちゃんやこなちゃんやあの人に迷惑かけて、
危険にさらして…こんなわたしなんて、嫌われて当然だよね………。
「これ、美味いな」
……えっ?
顔を上げると、あの人が潰れたチョコをかじりながら、こっちに歩いてきてた。
「シンちゃん、それ………」
「ああ、悪い。これオレにくれるもんだったんだよな?」
そう言ってあの人はわたしに笑いかけてくる。
「あっ、うん…そ、そうじゃなくて! それ落ちたし、潰されたし、汚いよ!!」
「大丈夫だ! ちゃんとラッピングされてたし、形が少し変形しただけだって」
「でも…そんなの美味しくないよ………」
「そうか? オレはこんなに美味しいチョコレート食ったことないけどな。まあ、つかさが美味しくないって言うなら………」
そこで言葉を止めると、あの人はわたしの頭に手をのせ、いつものように優しくなでてくる。
「今度は完成品を食べさせてくれよ、な?」
わたしは信じる。わたしの大好きなあの人は絶対にいい加減なこと言わない。だからわたしはあのひとの言葉を信じる。
「うん! おまかせあれー!」
わたしが嫌われてないってことを…………。
〜 f i n 〜