『気付く関係』
1
教室の扉を空けてやってきたかがみが驚いた顔をする。
なんぜ扉の前には、もうかがみが来るだろうとオレが待ち構えていたのだから。
「勝負」
「くっ」
オレとかがみ、互いにさっきの授業で返された英語、国語のテストを出す。
オレの頭がオレとかがみの主要3科目といわれる英語、数学、国語の合計数を計算する。
結果は
「オレの勝ちだな」
「計算間違いじゃないの?」
「なんなら改めて見せ合って数えるか?」
かがみの難癖もオレは冷静に受けて返す。
何度計算してもオレの勝ちは揺るがない
「いいわよ、今回はあんたの勝ちってことにしといてあげるわよ!」
かがみもそのことが分っているから、捨て台詞しか吐くことができない。
編入したてで勝手が分からなかったこともあって、小テストは散々たる戦果でかがみに馬鹿にされたけど、対処さえできればこれくらいは楽勝だ
久々に感じる勝利という高揚感に、オレの口も滑らかになる。
「普段偉そうなことをオレに言ってくるけど、大したことないよな実際、昔は凄かったってやつ?」
「あんたね〜教科ごとなら私が二勝でしょうが!!」
「全体ではオレが勝ってるからな」
「そんなんだったら主要五科目では私の勝ちでしょうが!!」
「大事なのは英・数・国、なんて言ったのはどこの誰だったよ?」
「ぐっ………」
口喧嘩でも完全に勝利し、今日はこの世界に来て忘れない日になりそうだ
「気が済んだかね?」
決着がついたと判断したらしくこなた達が近寄ってくる。
「ああ、オレの勝利でな」
「あんたって人は〜!!」
「シンさんの学力向上はとても喜ばしいことなのですが、かがみさんはいつもと違うと言いましょうか………」
オレとかがみの戦いの火ぶたが再び切られる前に、みゆきさんがフォローに入る。
ちなみにみゆきさんにはオレは完全な敗北となっている。
どこの世界にでも勉強ができるやつというのはいるもんだ。しかもまた尊敬ができるやつだから腹も立たない。
「お姉ちゃんわたしに付き合ってくれたから……ゴメンね」
「いいわよ、別に。悪かったのは自分の責任だしね」
「…………」
「シン?」
「あっ、いや」
そうか、つかさの、妹の勉強を見てあげてたのか
確かにつかさはこの前の試験よりも良かったしな
もちろんほとんどの教科でオレが勝ってるけど。
でもだったら
「みゆきさん几帳面だもんね…典型的なA型だよね」
気が付くともう皆の話題は試験のことから、血液型の話に移っていた。