『気付く関係』





 教室の扉を空けてやってきたかがみが驚いた顔をする。

 なんぜ扉の前には、もうかがみが来るだろうとオレが待ち構えていたのだから。



「勝負」

「くっ」

 オレとかがみ、互いにさっきの授業で返された英語、国語のテストを出す。

 オレの頭がオレとかがみの主要3科目といわれる英語、数学、国語の合計数を計算する。

 結果は



「オレの勝ちだな」

「計算間違いじゃないの?」

「なんなら改めて見せ合って数えるか?」

 かがみの難癖もオレは冷静に受けて返す。

 何度計算してもオレの勝ちは揺るがない



「いいわよ、今回はあんたの勝ちってことにしといてあげるわよ!」

 かがみもそのことが分っているから、捨て台詞しか吐くことができない。

 編入したてで勝手が分からなかったこともあって、小テストは散々たる戦果でかがみに馬鹿にされたけど、対処さえできればこれくらいは楽勝だ

 久々に感じる勝利という高揚感に、オレの口も滑らかになる。

「普段偉そうなことをオレに言ってくるけど、大したことないよな実際、昔は凄かったってやつ?」

「あんたね〜教科ごとなら私が二勝でしょうが!!」

「全体ではオレが勝ってるからな」

「そんなんだったら主要五科目では私の勝ちでしょうが!!」

「大事なのは英・数・国、なんて言ったのはどこの誰だったよ?」

「ぐっ………」



 口喧嘩でも完全に勝利し、今日はこの世界に来て忘れない日になりそうだ



「気が済んだかね?」

 決着がついたと判断したらしくこなた達が近寄ってくる。

「ああ、オレの勝利でな」

「あんたって人は〜!!」

「シンさんの学力向上はとても喜ばしいことなのですが、かがみさんはいつもと違うと言いましょうか………」

 オレとかがみの戦いの火ぶたが再び切られる前に、みゆきさんがフォローに入る。

 ちなみにみゆきさんにはオレは完全な敗北となっている。

 どこの世界にでも勉強ができるやつというのはいるもんだ。しかもまた尊敬ができるやつだから腹も立たない。



「お姉ちゃんわたしに付き合ってくれたから……ゴメンね」

「いいわよ、別に。悪かったのは自分の責任だしね」

「…………」

「シン?」

「あっ、いや」



 そうか、つかさの、妹の勉強を見てあげてたのか

 確かにつかさはこの前の試験よりも良かったしな

 もちろんほとんどの教科でオレが勝ってるけど。



 でもだったら



「みゆきさん几帳面だもんね…典型的なA型だよね」

 気が付くともう皆の話題は試験のことから、血液型の話に移っていた。





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