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 目の前に差し出されたもの、そして口から出された言葉にわたしの頭は真っ白になっちゃったの。

 でもそれは一瞬だった。

 次に起きた痛いくらいに早い胸の鼓動によって、わたしはすぐに現実に戻れたの。



 これは夢なんかじゃない



 子供の頃に夢だったお嫁さん。それが今適うところにわたしはいる

 しかもその相手は心通わせる世界で一番大好きな人



「シンちゃん、本当にいいの?」

 最後の確認、ううん違う。なにを言っていいのか分からなくて、なんとなくに出た言葉。

 でもその言葉にシンちゃんは力強く頷く。

「ああ、お前の存在がオレに安らぎや優しさをくれるんだ。そんなお前をずっと守りたい。

 そしてオレの側にいつまでもいてほしい」

 シンちゃんの想いにわたしはすごく嬉しくて、思わず涙がこぼれてしまう。

 照れ屋さんのシンちゃんがこんな場所で求婚なんてしたくなかったんだと思う。

 でもそれをしたのは、きっと夢見がちなことに憧れてるわたしの為。

 こんなにも素敵な人に自分は心の底から想われてる。



 答えは一つしかない



 わたしはシンちゃんが持っている小さなそして、大きな気持ちが込もった箱を両手でしっかりと受け取る。

 そしてわたしの気持ちを、想いを、言葉に乗せて返す。

「うん、喜んで」





「今年は雪降らなかったねー」

 レストランから出てわたしはふとそのことを思い出した。

 毎年この時期に家の神社でお祈りしているからか、シンちゃんと過ごすクリスマスには必ず雪が降ってた。

「残念だったな」

 後ろから声を掛けてくるシンちゃんに、わたしは振り返るとそのままの勢いで抱きつく。

「ううん、残念じゃないよ! 今年は一番よかったよ!」

 そう言ってわたしは手袋をしてる左手を見せる。

 シンちゃんは頷くとわたしに口付けをしてくる。

 今までと一緒だけど全く違う、新しい始まりを告げる口付け。



「シンちゃん」

「つかさ」



『メリークリスマス』



 今夜はクリスマスナイト、聖なる夜





~ F i n ~   






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