『初デート』
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卒業式も無事終わって一週間。今日わたしはデート。
もちろん相手は卒業式に告白した人、シンちゃんとです。
恋人同士になって初めてのデートなの。
今は居間で(ダジャレじゃないよ)シンちゃんが家に来るのを待ってるの。
服装も昨日お姉ちゃんと考えてバッチリ!
「つかさーつかさー大丈夫?」
「だ、だ、大丈夫、じゃないかも………」
問題はわたし。
初めてのデートだから、わたしの心はどこかへ行っちゃってます。
「自信を持てとは言ったけど、背筋伸ばしすぎよ。それにどこ見てんの?」
「うん、バルサミコ酢飲んだから」
今も自分でなにを言ったか分からない。でもそれなりな答えは返せたと思うの。
だからお姉ちゃんはそれ以上なにも言わなかった。
早く来ないかなーシンちゃん。
わたしこれ以上持たないよ〜。でも、シンちゃんが来たらこれ以上に胸がドキドキして、緊張するんだよね………。
じゃあ、ちょっとくらいなら遅く来ても―――
♪ ピンポーン♪
インターホンの音が鳴った瞬間にわたしは立ち上がる。
さっきの言葉はなし! やっぱりシンちゃんにすぐに会いたい!
「いってらっしゃいー」
わたしはお姉ちゃんの見送りの言葉に、バッグを大きく振って返した。